安田登先生のこと
こんにちは。
自分のなかでまだ慣れない「シルバー連休」という大型連休の最中、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。
天気予報を見ていると関東のあたりは今日(21日)の夕刻あたりから大雨が予測されているようで、できるだけそんな予測が外れて雨量が少なく、生活に影響がありませんように……神戸から祈っています。
神戸のあたりもさすがに台風の影響なのか今日は終日曇天で、昨日あたりから低気圧のせいか身体が重いし、蒸し蒸しと湿度が高くて、ひたすらもったりもたもらたしています。そんなせいかわたしもテンションは低め安定。
フリーランスなので連休といってもあまり関係なくて、先週末はやらねばならない仕事があってかかっていたし、今日もやるべきことがいくつかあって終日パソコン前という現況。
でも、明日か明後日くらいは、ちょっとお休みっぽいことできたらいいなあ。そうだ、関西圏でも行きたいけどまだ行ったことがない本屋さんがたくさんあるので、ちょっくら遠出して行ってみようかな……なんて想像するとテンションがぱああっと上がる。
だけど、気圧にぐいぐい押されて気づけばまた気持ちが低迷、もったり。
更年期のあたりで学んだことの一つだけど、気圧には勝てん。ま、しゃーないな!
と切り替えるとまたちょこっと気が晴れて、だけど10分後くらいには、またいつの間にか低めに引きずりおろされている。ぐぬぬ、気圧め……。
自分のなかでそんなことを繰り返しています。
ほんと気圧、やっかいだわ。今日はきっと気圧どころじゃない豪雨も心配ですよね。皆さんどうぞご安全にお過ごしください。やっぱり祈るような気持ちです。
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※サポートメンバーの方に読んでいただく話があったのですが、ごめんなさい、次回以降にお届けします。
今日は能楽師の安田登先生のことを聞いていただけたら嬉しいです。
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数日前、ツイッターで安田登先生が、ご自身がガンであること。いわゆる余命宣告をされたことを投稿なさいました。
わたしが安田先生を知ったのは、武道家で思想家の内田樹先生のご活動からでした。
内田先生が開かれている神戸の凱風館は合気道の道場ですが、畳をあげればお能の舞台ともなる場所で、「凱風館寄席」と称してさまざまな芸能ごとの公演が開催されています。安田先生&ノボルーザ(今は東京雑戯団)といった一座の皆さんもお越しになられることが多く、かれこれ15年ほど前からでしょうか。直接お会いできる機会が増えて、舞台を拝見したり、ツイッターでお喋りしたりという関係となりました。
世の中には、「いったいどんな人」「なにをやっている人」と聞かれて、ひと言で答えられない人がたまにいますよね。なんかすごすぎて、そのすごさを自分のもっている言葉で説明しきれないような人。安田先生もそんな一人なんです。
NHKの番組「100分de名著」での『平家物語』『太平記』『史記』といった古典の解説で知っている方もおられるかもしれません。
わたしはメンタル絶不調の頃にオンラインで繰り返し見た「能による音楽朗読劇『銀河鉄道の夜』」にずいぶんと救われたことも思い出します。
ジャパンフェスタ in ADACHI 2021「能による音楽朗読劇「銀河鉄道の夜」」
安田先生について平川克美さんがnoteでこんなふうに書かれていたので、貼りますね。
●「何かすごいことが起きている。」
平川さんがここに書かれているように、安田先生は自分のためにお金を貯めるということをしないので(書籍の印税や講演の出演料なども、すべてお金にならない活動に費やしてしまう)、70歳の今も財産ゼロ。さらには少し前から定住を辞めてノマド生活をしておられます。まさに身一つで生きている。
だから今回、治療費がない。貯金もないから。
それを憂慮した内田樹先生、釈徹宗先生、平川克美さんが「勧進聖」となって「喜捨」を募りました。クラファンのようにリターンがあるわけでもなく、ご本人も誰からいくら喜捨があったか知らない(活動をともにする人たちがお金の管理をする設定)という、本当に純粋な喜捨です。
下のリンクの「内田樹」のあたりをクリックすると全文読めます。見事な「勧進」(有名な勧進帳のあの勧進です)。
能楽師で、東京雑戯團、流れの会の主催者である安田登さんが本日がんであることを公表されました。これから投薬治療が始まります。
すると、この告知からわずか2日で800万、3、4日で1000万を超える金額が、喜捨先の銀行口座に……。
わたしも微力ながら喜捨させていただきました。これまで安田先生には目に見えないカタチでご恩をたくさん受けてきたから。
ご恩は受けた側が忘れないもの。 安田登先生のように、「恩を売らない」人は身に覚えもないだろうけれど、受けたと感じた側が必ず覚えているのだと思うのです。
なんだか、この事実に、わたし、とっても気持ちが明るくなったんです。
このところ、汚いお金が世の中を動かしている、世界がお金によって変わっていくと感じている渦中だからでしょうか。
そうだよな。お金ってよきものでもあったよな。
お金じゃない。そのことを教えてくれるのもお金かもしれないな。お金が希望に感じられたのは久しぶりだなあ。じーん。
安田先生の人徳、これまでなさってきたことはお金では計れないけれど、その一端が可視化された。なんだか救われたような気持ちにも(自分のことじゃないのに)。
そんなふうに思わせてくれる安田先生にまたご恩を感じるわたしでした。生きるために必要なことを、また身をもって教えてくださったなと。もちろん、勧進聖である内田樹先生、釈徹宗先生、平川克美さんもそうした方々なのですが。
さて、そんな安田先生が、昨日、YouTubeを始めましたと投稿があったんです。その名も「カウントダウンラジオ」。
ってえーー。余命宣告された人が、そんな番組を!?
冗談みたいで、でも冗談にならないっていうか、なんなのこのいつも安定の安田先生の規格外・想定外の感じは……。苦笑&笑泣。

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死までの日をカウントダウンするって、ふざけてると思うでしょ。むろんふざけています(笑)。が、大真面目でもあります。<br />
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「なぜ死がこわくないのか」
とにかく、と思って見てみると、これがびっくり。めちゃくちゃ面白いではないですか。
書評家で作家で古典に精通したスケザネさんのすごさもあると感じますが、生とか死とか、極論で語られがちな概念を、なにかこう理屈で引かれがちな境界を軽々超えていくお話が続きます。なによりすごいのは、哲学や宗教で語られてきたことが、安田先生のリアルな自分事として語られているということでした。
聞けば聞くほど、わたしはどんどん「死が怖くない」という安田先生の言葉を、すっと受け入れられる気持ちになっていました。
すごいな。安田先生……生き仏のように拝みそう。
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ふと思い出したことがありました。話が少し離れるのですが。
もう10年以上前になるのだけれど、ホスピスに入院されている方にお話を聞きに通っていたことがあります。 その一部をまとめたものが聞き書き集『人生最後のご馳走』(幻冬舎文庫)。この本を読んだ方からいただいた感想の多くに、驚きの声が多かったことを思い出しました。
患者さんはこんなに明るいのはなぜですか。
皆さん笑って話されているのはなぜなのか、と。
中には、本当なんですか? つくっているんじゃないか、という懐疑的な声を感じる言葉もありました。
まったくつくっていません。わたしも取材に行き始めて、最初に驚いたことが皆さんのその明るさでもあったんです。その理由がわたしにもわかりませんでした。死を前にして、人はこんなふうにいられるのかと。
ただ、現実に、話をお聞きした方々は、病室であることを忘れそうに皆さんがあっけらかんと生きておられて、目の前で笑って話してくださった。だからそのままを書いた。
お一人、病室で原稿を書いていた方がいらっしゃいました。本業のお仕事とは別で郷土史の研究をされているIさんという方で、入院が決まった段階で、書かなきゃいけない原稿を抱えていた。
「これを書かな死なれへん。あんたも書きもの仕事してるならわかるやろ、この締切(「死」という)キツいで」って笑ってらっしゃった。死を笑っていた。
わたし、YouTubeをはじめ、ツイッターの投稿なんかでも、安田先生が笑ってお話になっているのを見ると、Iさんのことを思い出したんです。
その方も、「生と死のあわい」を生きておられたのかもしれません。そこは「生の側にいると疑わない」わたしにはやっぱりまだ想像しかできない場所なのかもしれないなあ。安田先生がおっしゃる「新しい世界」は、見えないのかもしれない。
郷土史研究をされていたIさんが病室で書かれていた原稿は、その地域に残された古文書の現代語訳でした。その方がいなければ残らない記録を、その方は最後の仕事として選ばれて、しっかりと言葉で残されました。
ある日病室に行くと、「もうこれで思い残すことはないな」と完成した本を2冊くださいました。患者さんというより、伝承者としてのその方をわたしは今も思い出します。
伝承ということでいうと、伝承者である安田先生が「カウントダウン」と称して、ご自身がいま感じていることから古典を紐解く。そんな大きな仕事を記録に残してくれるスケザネさんという伝承者にも感謝の気持ちです(スケザネさんのYouTubeの番組の一つという位置づけです)。
本気でおもしろがる人とお話になられる安田先生、生き生きしてる。 ほんとすごい。わたしも死が怖くない気がしています。
ホスピスでお話を聞かせてくださったIさんには後日談があります。
わたしはただただIさんのお話が面白くて、ICレコーダーだけ回しつつ、取材とは関係なくただ話を聞きに病室を訪ねていました(ICレコーダーには15時間以上の音声が残っています)。
そんなIさんの言葉も、本にするときには数千字にまとめることが必要になり、もどかしい思いも抱きつつ、できるだけIさんらしい言葉を書き留めました。
本が出てすぐの頃。ツイッターで、今度、新しく本屋さんを開くという元書店員の方が、『人生最後のご馳走』をたまたま手に取られたようで、読み進めているうちに、これはどうやら伯父ではないか、きっとそうだ、と言及されていたんです。
わたしがコメントを書き込んでやり取りしたところ、やはりその方の伯父さんに当たる人だったと判明しました。お母さまのお兄様がIさんだったんです。
新しい本屋さんをオープンされてすぐの頃、わたしはたまたま東京に行く用事があって、生まれて初めて荻窪で下車しました。そこから歩いて辿り着いたとっても感じのいい青いひさしの本屋Titleはわたしには、Iさんの甥っ子さんのお店なんです。
読んでいると伯父の語り口そのままで、伯父を思い出すと辻山さんがおっしゃってくれたこと、ずっと忘れないと思います。辻山さんを見ると、本屋Titleという名前を見聞きすると、わたしはIさんを思い出します。
このレターを書いていたら、安田先生ともよく組んでいろんな企画公演をされている浪曲師の玉川奈々福さんがガンになったことを公表される投稿をなさっていました。治療が順調に進み、ご回復されて、予定通り舞台に立たれることを信じています。奈々福さんもすごい人なんですよ。またいつか奈々福さんの話もさせてください。
すごい師匠、先輩方が、こうして「生きる」を見せてくださって、震えています。
(おわり)
この無料のレターは、有料サポート支援くださっているサポーターの方々のおかげでお届けできています。サポートメンバーの皆さんには感謝の気持ちしかありません。本当にありがとうございます!!
来週はサポートメンバーの方に読んでいただくレターをお届けする予定です。
懲りずにお付き合いくださいませ。
では、また次回お会いできますように。
以下、お知らせを3つ。ささっと読み流してくださいね。
●「あなたの文章を読みます」 2026秋以降のこと
明日(22日)、10月に書いていただく回の受付を始める予定です。本当に少人数ですが。
●10月「ゲンナイ会」のこと
あとお二人ほど受付できます。ご興味ある方がおられましたら。
●「あなたの話を聞きます」10月のこと
あと一人受付できます。
以上です。
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