人に会って本と出会って、誇り高いキューバの人たちを思い出した三連休のこと

先週末の日記のようなレターです。
青山ゆみこ 2026.03.23
誰でも

皆さん、こんにちは。先週末はいかがお過ごしでしたでしょうか。

わたしはこのところ、自分でもヤバいと思うほどスマホ依存が強くて、自分から目を離すといつの間にかSNSに張りついてしまってます。
そんな状況に危機感を抱き、意図的に人に合う、外に出るようにしたのがこの三連休でした。今振りかえりながら、「その選択、やっぱよかったなあ」としみじみ感じています。

さまざまなデモが各地で行われていましたよね。様子を知るだけで励まされました。このレターを読んでくださっているなかにも、デモに行かれた方がおられるかもしれません。ありがとうございます、という気持ちです。

行きたいけど行けないって方だってたくさんいるんじゃないでしょうか。なかには行けないことに負い目を感じていうる人もいるかもしれない。例えば、距離が遠いから行けないなら「しょうがない」って思えるけど、行けないことないけど、行かなかった。そんな自分がどこか後ろめたい、なんてことも。

ちらほらそんな声を聞きますし、わたし自身でいうと、強く関心を持っている(賛同もしている)デモが兵庫県であったのですが、タイミング的に難しく、でも、すごい無理したら途中参加はできたかもしれない。だけど無理するのはやめた。そんな自分がどこか不甲斐ない。

だけど、関心をもつだけで意味があるとも思うんです(きっぱり)。あと、わたしの場合は(あくまでわたしの場合です)、SNSで共感共有のポチっと投稿をすることで、なんもしなかったわけじゃないと、自分に言い聞かせています。

例えばなんだけど、新聞の記事を読みこんで、自分なりにぐっと深く咀嚼することなんかも、それが「自分に意味のある行動を選択した」と思えるならば、それはもう自分にとっての「デモ」行動のようなものなんじゃないでしょうか。

体調を崩して横になって身体を休める。そんなことだって、ものすごく意味がある。一人ひとりが健やかでいることが、平和に大きくつながるんじゃないか。理想論ではなくとても現実的な事実として。

だから無理しない。できることをする。

別の予定と微妙に重なって行けなかったのですが、20日の祝日には「ギャンブル依存症問題を考える会」が主催する、依存症当事者の自死について考える集会を大阪で開かれていました。

わたしは、この集会もデモ活動だと捉えています。ある問題を提議して、集って共有して声を上げる。さらにいうと、繰り返しになるけど、そういう会があったことを共有するのもデモなんじゃないかと。

なんてことを考えていた三連休でもありました。

祝日である金曜日は、灘の水道筋にある「たびたび書店」で開催された読書会に初めてお邪魔しました。「たびたび書店」さんはこぢんまりした空間ながら、本のセレクトがとっても広くて、やさしい。子どもの常連さんも多いんです。文学青年も、職業的に書く人も、ほんとに幅広い層が次から次へと訪れます。おもしろいお店だなあとしみじみ思う。


その日は、Instagramで見て気になっていた神戸の栄町にある「ViVO,VA」で開かれている「アトロクブックフェア2026」も見に行きました。人気番組TBSラジオ「アフター6ジャンクション2」の推薦図書特集にて紹介された書籍と、番組関連本が並ぶフェアです。

めちゃめちゃ迷いながら高妍さんの『隙間』(全4巻)をチョイス。ご店主・ニシダさんともあれこれお話できて、とても嬉しかった。

わたしにとってニシダさんは、本屋さんの人というより(そもそもViVO,VAは感度の高いインテリア雑貨やアパレルを扱うショップで、本がメインではありません)、わたしにとってはパブケネスという酒場で、会うと嬉しくなってつい飲みすぎるという飲み友達なんです。

もう何年前か分からないほど昔に、ケネスのご店主である北秋さんに紹介いただいて以来、カウンターでばったりお会いすると、ひたすら映画とかサブカルの話がどっぷりできる、雑誌育ちのわたしには超ストライクのお喋り仲間。お人柄も穏やかで、大好きな人。だけど、お酒をやめたので、なかなかゆっくりお会いできなくなってしまっていました(ときどき道でばったりお会いすることはあっても)。

高妍さんの『隙間』は、沖縄に留学した台北の大学生「ヤン」こと楊洋(ヤンヤン)が主人公のコミック。今読み始めているのですが、とても静かに語りが入ってくる感触です。小説を読む感じに近い、不思議な漫画。すでに「めちゃくちゃいい」という感じがあります。

高妍さんは、わたしにとっては村上春樹の『猫を捨てる』の装画の人でもあります。

この『隙間』の会計しているときに、レジで今から店出しする本として目に入ったのが和山やまさんの『ファミレスへ行こ。』でした。全くノーチェックだったのですが、なんでもすごい人気シリーズで、レジに積んでいるのはファン待望の最新巻なんだとか。
ニシダさんが扱うなら間違いないだろうと読みたくなったものの、上巻は売り切れてて入荷予定も立っていないとのこと。

「あ、でも、本の栞さんなら扱ってるんじゃないかな」とニシダさんがぽつり。

え、そうなんですね! 実はちょうど「本の栞」さんにも行く予定だったんです!

『ほんちょっと当事者』ちくま文庫版には、画家で文筆家の小指さんに解説を寄せていただいたのですが、彼女を知るきっかけとなったアルコール依存症者との回顧録『宇宙人の部屋』と最初に出会ったのは「本の栞」さんだったので、御礼とちくま文庫版のご献本に行きたいと思っていたから。

そんなわけで、ニシダさんに別れを告げて西元町の「本の栞」さんに移動して、『ほんちょっと当事者』ちくま文庫版もお渡しできて、ほっ。

としてから、ViVO,VAのニシダさんに教えていただいた和山やまさんの『ファミレスへ行こ。』を購入しようと棚を見るとなんと上巻しかない。聞けば下巻は瞬時に売れてしまい、再入荷待ちとのこと。

となると、上巻は「本の栞」さんで入手して、下巻は「ViVO,VA」さんにも一度戻って買うしかない! と慌てて会計をしていたら、栞さんが『ファミレスへ行こ。』は、前作『カラオケ行こ!』の続編という位置づけだとぽろっと教えてくれたんです。

つまり、『カラオケ行こ!』がすごいいいので、続編の『ファミレスへ行こ。』が生まれ、その上巻がめちゃいいところで終わるので、ファンが今か今かと待ち構えていたのが下巻というわけ(うまく説明できているでしょうか)。

確かに『カラオケ行こ!』を読んでた方が、すっと入れるかもしれないですねえ。と栞さんがおっとり勧めてくださって、『カラオケ行こ!』(全1巻)も追加で会計してもらっていたら、なんとViVO,VAにいるはずのニシダさんが「本の栞」さんに入ってきて、驚いていたら、「アトロクブックフェア2026」のリーフレットを渡し忘れていたからと、わざわざ届けに来てくださったのでした(なんて良い方なんでしょう……涙)。

そんなわけで、今度はそのままニシダさんと二人でお喋りしつつ小走りしながら(歩いて5、6分の場所にあります)、本の栞さんからViVO,VAさんへと移動。そして、『ファミレスへ行こ。』の下巻も無事に入手したという流れでした。

なんかもう、あるよね、こういう不思議な流れって。そういうのって、嬉しくなるよね。面白くて。そんな感じの出来事。

そんなふうに自分の手元にやってきた本だってこと、絶対に忘れないよなあ。そう思うだけで、なにかご褒美をもらった気持ちだったのですが、その晩に読んで、もうたまらんかった。めちゃくちゃいい、、、
ずっと泣きそうになっていました。書きながら思いだして泣きそう。まぢ、いい。涙。

土曜日はWordの講習会(テキスト打つしかできないので、デザイン初心者入門編。今さらだけどウルトラ勉強になりました)、日曜日は「ゲンナイ会」。

ゲンナイ会でいつも思うことですが、やっぱりその日その時に集まった顔ぶれだから生まれる「場」がある。その「場」は毎回違って、そのことにも感動する。その人がいる。それがどんなに尊いことか、と。小さな声で語られる言葉は、かけがえのない、その人だけのもの。

ご参加くださった皆さんに感謝です。

さて、お知らせですが次回は4/26(日)に開催です。

明日以降、他でも告知していきますね。

あまりに重苦しい幕開けの3月も、あっという間に下旬。世界はますます混迷を極めていて、不安はとっても大きいけれど、生活していくしかない。同時にいろんな思いを抱えながら、信頼できる人と話をしたり、お茶を飲んだりしながら、この先も生きていこうと思います。

今回のレターでは、サポートメンバーの皆さんへの続報も予定していたのですが(「歩く」を巡る冒険の続編)、実はキューバについても書きたいと思っていました。トランプ大統領がキューバに入るはずの石油を止めてしまったことで、電力が完全にダウンしているという現状に、たくさんの人と同じように胸が潰れそうです。

わたしは2015年の2月にキューバに2週間ちょっと滞在したことがあります。首都ハバナとサンチアゴ・デ・クーバ(第二都市)を訪れたのですが、その時に感じたことをここ数日、強く思い出しています。
10年前の当時、初めてキューバを訪れて感じた一番大きなことは、「あまりにもものがない」ってことでした。インフラも脆弱で食糧は当時からすでにかなり不足していた。乱暴に言うと「こんなに貧しいとは思っていなかった」です。もちろんそれにも政治的なことが深く関与しています(ソ連の崩壊とか)。食糧は配給制で、その配給では国民は満足に食べられない。

外国人には限定して開かれた国ではあるけれど、国外へのWi-Fiは遮断されていて(特定の場所で、許可されたら通信可能です)、言論の自由が制限されていると感じた場面が何度もありました。西側の資本主義諸国(日本も含めて)とは違うシステムです。キューバは社会主義の国だと、強く実感しました。

物不足や経済の面で問題が山積みだけど、医療や教育は無料だったり、良い面もたくさんあります。なにより、けして大国に媚びを売らない、お金で尻尾をふらない人たちの気概と姿に、「こんなに誇り高い国はない」と心が震えたことを今も思い出します。
「楽園のような国」とか「美しい国」とかよく旅ものバラエティなんかで紹介されますが、わたしはそんな薄っぺらい言葉では表現できない人たちの国だと思う。貧しくとも誇りをもった人たちが暮らしている。日本より、人の心は豊かなのかもしれないと。

そんな国の誇り高い人たちが、命の危険にさらされている。フードロスが問題になるような、資本主義の歪みが出まくっている国とシステムになれきって生きる自分の責任も考えてしまう。なにより、今は、アメリカと同盟国であることに抗いたい気持ちが怒りとともにこみ上げる。

そんな話を書き始めたらとんでもなく長くなりそうだったので、また改めて書きたいと思います。
(唐突におわり)

サポートメンバーの方に読んでいただく続報、今少しお待ちくださいね。お話したいことが山のように増えています。懲りずにお付き合いくださいませ〜〜。

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