今週はお休みです(お知らせ)とカウンリング本のこと

今週は「お休みです」というお知らせをお送りします。なんだけど、読んでる本のことからカウンセリングのことも少し。
青山ゆみこ 2025.09.29
誰でも

皆さん、ついに9月も終わり。ネバーエンディングかと思われたサマーもようやくエネルギーが尽きて、まるでマラソンの最終トラックで突然疾走してきた秋(オータム)選手にゴール手前で追い抜かれたような。

「え、オータム選手、どこにおったん? 今回は棄権かと思ってたけどっ?」とでも叫びたくなるような、「姿を見せるの遅すぎへん?」とついひと言は言いたくなるような。

いや、現れてくれたことに感謝しましょう。
ようこそ、秋。
待ってました。ありがたい(拝む)。

本日は9月の第5月曜ということもあり、今週のレターはお休みです。
(というお知らせなんですが、ついついとりとめなく……)

わたしは明日から大学の後期の授業の出講が始まります。
自分的には「週2回、3コマなんて、まぢ無理では……」と不安しかないのですが、自分なりに精一杯準備も進めてきたので、あとはもう走るしかない。一度走り始めたら、走り終わるまで走るしかない。

そんな切迫した気持ちと、「一人で走るわけじゃない、みんなで走るんだ」「だから一人で抱えすぎないでも大丈夫」という気持ちが錯綜して混戦模様です。

昨年、一昨年もそうでしたが、授業ってやっぱり「みんなでつくる場」なんですよね。わたしがひとりで想像したようには進まない。

これは普段からのわたしの課題みたいなものだけど、「うまくやろう」と思いすぎてしまう。思い通りにしたい、と思っちゃう。それが自分を苦しくするし、なにより「わたしが考えることがベストではない」のに。もっともっと可能性があるのに。
もっと場の力を信じていかなきゃなあ。

という反省を今年度はいかしたいです。

このような不安な気持ちも、こうして書いて、皆さんに聞いて(読んで)もらうと、やっぱりどこか安心するというか。自分に言い聞かせるだけでなく、皆さんからの励ましの声が聞こえてくるような気持ちにもなります。

そんなふうに自分ひとりで「思う」だけでは辿りつけない気持ちって、不思議だなあ。いったいわたしのなかでなにが起きて、こういう気持ちが生まれるのだろう。
「ゲンナイ会」を開くなかでも、そのことをよく考えます。この場でなにが起きているのだろう、と。

昨日から読み始めた東畑開人さんの『カウンセリングとは何か 変化するということ』(講談社現代新書)、まだまだほんと序盤なんですが、すごく面白い……。

また読み終わったら改めて感想を書くかと思うのですが、いま感じていることを少し。

「話す」と「聞く」の延長にある、いわばテーマのない自助グループみたいな「ゲンナイ会」の場と、臨床心理の専門家が行う「カウンセリングの場」。
確かに要素として重なる部分はあるかもしれないけれど(「話す」「聞く」という相談的な部分)、決定的に違う、ということをこの1冊できちんと言語化して自分のなかに持っておけそうな気がしています。

「カウンセリングっぽい場(関係)」と「技術をもった専門家によるカウンセリング」の間には、明確な線がある。「っぽい」という曖昧な部分も一つひとつを東畑さんが言葉で説明してくれている気がします。読むほどにどんどん部屋が片付いていくような気持ち良さ。「心のこと」だから曖昧になってしまいがちなことを……(すごいことだなあ)。

ちょっと話が飛びますが、わたしにもマイ「カウンセラーさん」がいます。カウンセリングを体験して、すごくよかった。自分では抱えきれない気持ちになったら、専門家としてお話を聞いてもらえると存在に安心できるような人です。

その人とは別で、過去、うまくいかなかったカウンセリング体験も実はありました。

東畑さんが〈カウンセラー探しは賃貸マンション探しに似ています〉と書かれていたのですが、震える名言……。まさに……。

このわたし自身のカウンセリング体験については、とくにうまくいかなかったことは、自分のことだけじゃないので(そのカウンセラーさんが関わることなので)、不特定多数の目にふれる場ではあまり書けないと思って封印していたのですが、サポートメンバーの方に読んでもらうレターなら閉じているので安心かなと思い、またお届けしようと考えています(もうほぼ書いてるので、秋のうちにお送りします)。

いろんな「話す」「聞く」の場があって、わたし自身にとって「ゲンナイ会」もそんな場のひとつになっていますが、信頼できるカウンセラーさんによるカウンセリングは、必要な人には命にかかわる重要性があるように感じています。

精神科医の先生との診察時間とは、また全然違う気がするんですよね。時間も(費用も)違うんだけど。どちらがいいとかそういう単純なものではなく、それぞれ必要がある。

植本一子さんの『愛は時間がかかる』(筑摩書房)はトラウマ治療の記録であり、カウンセリング文学とでも言いたいような一冊です(植本さんの文章なので、読みものとしてももちろんお薦めです)。

植本さんはEMDRという治療法を体験されたそうですが、どういう治療法を採り入れるのかもカウンセラーさんと決まる(決めていく)ので、カウンセリングに迷っている人はいろんな当事者体験や、カウンセラーさんの著書を読むのもいいかも。こういうやり方もあるんだなあと、知ることは無駄じゃないように思います。

わたしはタイミングが合わず受けなかったけど、カウンセラーである伊藤絵美さんが力を入れておられる「スキーマ療法」は、ほんとは体験したかったものでした(今後もし必要になったら選択肢に入れると思います)。

入門書のようなものはたくさん読んで、入口だけ薄目で見たような覚えがあります。

この夏に、やや専門家向けのようですが、こんな新刊も出ています。わたしはまだ読んでないけど、気になって積んでおいています。
伊藤絵美『セラピストのためのスキーマ療法徹底ガイド』(金剛出版)

そして思い出したのですが、名著『庭に埋めたものは掘り起こさなければならない』の著者である齋藤美衣さんが、11月に新刊『やっと言えた』出版なさるそうです。

この本は、齋藤さんが カウンセリングを通してトラウマの呪縛から抜け出していった記録が描かれていると、新刊予告で知りました。とても楽しみにしています(楽しみという言い方は乱暴かもしれないけど、齋藤さんの文章が好きなので)。

というわけでバタバタと駆け足で失礼します。いささか長くなっちゃいましたが、「今週のレターはお休みします」のお知らせでした。

皆さん、9月の残りを楽しんで、良い秋をお過ごしくださいね。また10月にお会いできますように。

(おわり)

●お知らせ●

毎月開催している「ゲンナイ会」ですが、10月は会場の手配をうっかり忘れていて、もう埋まっていました。11月8日(土)におさえられたので、次回は11月に開きます。
一般受付はまだしていないのですが、レター読者の方は先行でお伝えしますね。よろしければ〜。

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