それが「贈り物」だったと後からわかるって、素敵なこと
11月も後半になりました。信じられない……。
わたしは相変わらずテンパった毎日を過ごしているのですが、先週末、必死のパッチで時間をひねくりだして、自転車でひとっ走り。「仕事部屋」探しの内覧に行ってまいりました〜〜。
玄関を開けて部屋に入った瞬間に「わあ、明るい!」「かわいいっ」と叫んでしまったような、わたし好みでちょいレトロな、それはもうとっても素敵なお部屋だったのです。
自宅からの距離、建っている場所もいい。窓も多くて採光もばっちり。もう十分すぎる。というか、十分すぎるような気がする……。
お部屋に入った第一声は前述のとおりだけど、その次に出たのは「うわあ、広っっ」という自分の声でした。もし、普通に一人暮らしするのなら、キッチンダイニング&リビングという間取りは「ちょうどぴったり」に胸が弾んだはず。
でも、わたしは「住まない部屋」を探している(ややこしいですね)。求めているのはあくまで「仕事部屋」。それには贅沢すぎる……。
というわけで「こんないいお部屋なら、住まないともったいないので考えます」というなんとも微妙なお返事をして、ひとまず保留にしていただいたのですが、たぶん見送ることになりそうです。うぅ。
ただ、今回の内覧は、改めて「いま、自分が求める場所」について深く考えるきっかけになりました。どこかちょっと夢みたいなふわふわしたイメージだったけど、とてもリアルに考えさせられたんです。自分は何をどんなふうにその部屋でしたいのか。具体的に、今も頭のなかでずっと考え続けています。
同時に、お部屋探しはご縁とタイミング。きっと「その部屋」は現れてくれるのだろう。そんなふうにも楽観しています(そういう時間が楽しいのかも)。
ででで、今回おお部屋探しには、ほかに「嘘みたい!」と自分でも驚いた話がすでにあるのですが、それはまた改めて聞いていただけたら嬉しいです(自分のことだけじゃないので書けない、というのも大きな理由です)。
●
今日は二つお知らせをさせてください。
ひとつは関わった本のこと。
個人のSNSでも少し書いたのですが、校正者で、わたしの知る限り「すごい本読み」のおひとりで、ご自身も素敵な文章も書かれる牟田都子さん。そんな彼女が編者となって誕生した「贈り物」をテーマにしたアンソロジー、その名も『贈り物の本』(亜紀書房)が明日、11/18発売となります。早いところだと、もう店頭に並んでいる本屋さんもあるようです。
光栄なことに、わたしも寄稿者として参加させていただきました。
お先に見本を頂戴し、ぱらぱら捲るつもりが、一編一編に引きこまれて、もう何度泣いてしまったことでしょう。ときに大笑いしたり、「うまい!」と思わず膝をうったり。牟田さんの「はじめに」からぐっとくる名文エッセイ集でもあります。
編集者的な目線だと「よくこんないろんな人に書いてもらおうと思ったな(よくお引き受けいただけたな)」と驚くような人選だし、それぞれの 文章がやっぱりほんと異なる肌ざわりなのに、読み終わったあとにしっくりくる。読後感がどれもそろって不思議なほど「しっくり」くる(としか言えない)。牟田都子さんが編者となったからこその、この一冊に思えてなりません。
また、名久井直子さんによる装丁デザインがものすごく素敵なんです(持つだけで胸がいっぱいになる)。これからの季節、誰かにプレゼントするのにもいい一冊だと思う(断言)。わたしも実はすでに二冊いただいたうちの一冊を、「今だ!」という方にプレゼントしました。
そしてそして、小川公代さんの『ゆっくり歩く』(医学書院)で取り戻しつつあった「読む時間」が、この本をきっかけに、さらに加速してわたしに戻ってきています。誰かの話に聞き入ることが、こんなにも心をゆたかにしてくれるなんて……(忙しすぎてもうまぢすさまじく殺伐としていたので)。この本こそが、わたしには贈り物だったんだなあ。
誰かからなにかを受け取るって、案外ほとんどの場合は、事後的にしかわからないものもなんじゃないかしら。皆さんのご寄稿からも、そのことを幾度となく感じました。
●『贈り物の本』亜紀書房さんからの紹介文●
あなたの「忘れられない贈り物」はなんですか? 読むと、誰かを思い出す。うれしさ、心温まる記憶、懐かしい風景、かすかな痛み、複雑な思い。作家・詩人・ミュージシャン・俳優・漫画家など37人が、大切な記憶を持ち寄る、書き下ろしエッセイ集。 37人の忘れられない贈り物の話。
さりげなくあしらわれた箔押しがまた美しくて……素敵な包装紙に包まれたとっておきの贈り物みたい
ふたつめのお知らせ。
12月ゲンナイ会の受付のこと。
このところ人生があまりに自転車操業すぎて、もう年内はゲンナイ会とかできないよ……と諦めかけていたのですが、前回にレターでお話ししたように、家族のことでいろいろ落ち着かない時期も、やっぱり誰かと話したり、聞いたりすると、ちょっと胸のざわざわが鎮まる。実感したのもあります。
12月の慌ただしいなかだからこそ、ひっそり静かに集まれたらいいな。そう思って12月は土曜日の朝、まだ街の静かな時間帯に年内最後のゲンナイ会を開くことにしました。
こちらでお知らせした後にnoteの告知を開始する予定です。
レターを読んでくださっている方には先行でお知らせしたくて、先に書きますね。