今度こそ「仕事部屋」がほしい
大学への3コマ出講という秋からの生活サイクルにまだ慣れず、『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』(三宅香帆)状態の10月もそろそろ下旬。まぢで本が読めない。
信じられないほど読めなくて、三宅さんの本書を再読するなら「今でしょ!」なんだけど、それすらできない。授業に関連した文献資料を読むのと、学生のレポートを読むだけで、わたしの「読むメモリ」はマイナスになるほど、読まねばならないものが多い。
読みたくないものを読んでいるわけじゃないけど、どーでもいい読物もしたい。義務とか責任とか生じない、「ただ読む」だけができる本を読みたい。
「読まなくてもいい本を読む」って、自分にとって良い感じに空気が抜けて、大きな気分転換になっていたんだなあ。
そんなことに気づくほど、わたしはなんだか気分が常に逼迫して、夜も怖い夢にうなされることが増えていったおります(プレッシャーに弱い……)。
そんなふうに「やらなきゃいけないこと」でパンパンに膨らんだわたしの日常は、空気をぎゅんぎゅんマックス入れた自転車のタイヤみたいなテンションで、漕ぐと勢いよくすいすい走れちゃうんだけど、ちょっと不安になる。
小さな尖った石にでもひっかかったら、一瞬でパンクしちゃうんじゃないか。危うい。自転車のタイヤも適度に空気が抜けたかなーってくらいが、のんびり走行にはほどよいってことも知ってるから(わたしの場合は、です)。
人生の空気抜きがほしい。
でも本が気楽に読めない今、なにができるのか。煮詰まっていたわたしが、少し前から「抜く」ために見つけたひとつが、「住まい」の写真や動画を見ることだったのです。
それまで「本」や「本屋」さんで埋め尽くされていたスマホのSNSは、例えばInstagramなんて、合間に差し込まれる「おすすめ」的な投稿も、もはや「住」関連一色(かつて勢力を誇っていた美容整形アカさえ凌駕する勢いで)。
流れてくる誰かのお部屋を見ているだけで、ふっと気が抜けたり、ゆるくテンションが上がったりする。
ゆるくというのも重要で、インテリア雑誌のブランドを買いあさった(個性のない)タワマンのゴージャスライフみたいなものは一切見てなくて、好んで眺めるのは、なかなかに狭いワンルームだったり、見ただけでわかるレトロ物件だけど、でも「いい感じに機嫌良く暮らしていてます〜」って人の投稿ばかりなのです。
で、実はわたしは、久しぶりにまた「自分の部屋」探しを始めました。
そっちが先にあり、いつのまにかスマホのSNSが「住」「インテリア」で埋め尽くされるようになったという。説明する順序が逆になっちゃったのですが。